12.31.2014

大晦日二〇一四

東京と山梨を往復する暮らしを楽しんでいたら、
ブログの更新を三ヶ月も放置してしまった。
Facebookで時折、写真をあげて遊んでいると、
ネットとの付き合いも、それでお腹いっぱいになるのかもしれない。

来年はどうやら羊の年らしい。
羊の写真を探して古いハードディスクをひっくり返していたら
懐かしい写真を発見した。
2008年に2度目に奥田さんの庄内にある『アルケッチャーノ』を取材した時のものだ。
十数年前に、立て続けにヨーロッパ中の星レストランを駆け巡って
美味しいとはどういうことか少しわかっていたような気がしていたが、
食事をして、涙が流れたのは『アルケッチャーノ』 を初めて取材した時だけだ。


奥田シェフは、到着した取材陣を、挨拶もそこそこに車に載せて、
自らハンドルを握り、いつも食材を調達している
庄内の畑、山、牧場、はたまた道ばたに我々を案内してくれた。
ぐだぐだと机上で話をするのではなく、道ばたに生える草を口に含み、
羊を走って追っかけ、畑から活きのいい野菜を引っこ抜いて
車に放り込む様を見せてくれた。
その食材たちが調理され盛りつけられた料理達を、
写真を撮り、座ってゆっくり口に入れた瞬間、
身体が勝手に反応して、涙が溢れ出た。
旨いとか、美味しいとかの感覚とは別の回路が働いたように勝手に涙が流れた。
あまり人前で泣く趣味はないが、うかつにも奥田さんに見られて笑われてしまった。

食べ物を頂くということのシンプルな意味を、
奥田さんに教えてもらったと思っている。



最近、言葉では言い表せない不気味なエネルギーが
じわじわと我々を包み始めていると感じることがある。
正直なところ、新たな年、未来がどんなことになるのか、よくわからない。
政治、経済、放射能問題、秘密法、国際問題etc.
本当の歴史とは、実はほとんどの人が窺い知れないところで
流れていってるような気がしている。
つつましく、自分の身の回りにある幸せをかみしめながら、生きていこうと思っている。

どうぞ、皆様、よいお年を。
来年も、よろしくお願い致します。

大晦日二〇一四

9.12.2014

とんぼ2014

約一ヶ月前、八ヶ岳の家の近所を自転車で散歩していたら、
有刺鉄線で周りをかこっている田んぼを見つけた。
その鉄線を支える数十本の鉄パイプにずらりととんぼが止まっている光景を見て
思わず自転車を止めてとんぼとのセッションが始まった。

はじめは近づくとすぐに飛び去って逃げていたとんぼ達が
15分程経つとあまり逃げないようになった。
危害を加えないと判断されたのか、モデルになりたかったのかはわからない。

こんなにたくさんのとんぼが遊んでくれるならと
iPhoneのROADMOVIESというアプリで撮る事にした。
彼らはあっけなく私を受け入れて、わずか9分間の間に8匹も指に止まってくれた。



神が与えた奇跡のように思えて、すぐさま家に帰って
シグマDP3 MerrillとD800E+引き伸ばしレンズロダゴン逆付けをたすきがけにして、
ハッセルHにリングライトを装着したものを最近お気に入りのカメラバックに入れて、
再び現場に向かった。



2012年に東京の公園で虫達を撮影した時には、
昆虫界の頂点に立つような敏捷かつ警戒心の強いハンターぶりで、
もっともファインダーに捉えるのが難しいと思っていたとんぼ達が
いとも簡単にカメラの前で佇んでくれた。
翌日も似たような天候だったので、同時刻に再び撮影した。 
約300枚のトンボ達の目にしっかりピントが合っている『あたり』を
撮ることが出来た。

大げさではなく、八ヶ岳のとんぼ達に仲間として受け入れられたような、そんな不思議な時間だった。


































8.16.2014

SIGMA DP3 Merrill

SIGMA DP3 Merrillを購入してから約3週間が経過した。
なぜいまさらクアトロという新型が出ているにもかかわらず、
旧型のSIGMA DP3 Merrillを購入したかというと、ネット上の評判や作例を見て
クアトロのセンサーと画像エンジンが未だ完成の域に達していないと
判断したからである。
(ハイライト域、特に雲の描写に於いてクアトロは
はるかにメリルに劣っているように感じた)

今や5万円を切るプライスとなっているメリルシリーズは、
操作性やソフトのじれったさはあるものの、小型のカメラとしては
確実に一歩抜きん出たデジタル写真を生成するおそろしく
コストパフォーマンスに優れたカメラだと思う。

ハッセルHとNikon D800Eという高解像度番長と比べても、
2年間使い続けているDP2 Merrillは決して負けない高解像度な写真を吐き出してくる。

標準レンズ付きのDP2 Merrillの電池室のプラスチックカバーが、
少し前に劣化したようにポロリと折れてしまい黒パーマセルで
無理矢理塞いで使っていることもあって、
気分転換と予備の意味合い(バッテリーは共用できる)もかねて、
中望遠レンズのついたDP3 Merrillを手に入れた。
(クアトロの電池蓋がゴムになっている点を騒いでいるユーザーがいるようだが、
電池消費の激しいこのカメラで毎回電池交換を繰り返してプラスチックカバーが
劣化することを考えるとむしろゴム製のほうが好ましいと思える)


DP3で1500枚程撮影して、現時点で気になっている点。
●個人的にはDP2の方が描写のキレがいい気がする
(もしかしたら旧版とは別物となったソフトのせいかもしれない)
●最短撮影距離が格段に短くなったおかげでかなり使い勝手がいい。
●レンズが大きくなり焦点移動が多くなったせいかバッテリーの持ちが
DP2よりも悪い気がする。(半日で電池3個は必要)
●少しレンズが長いので絞り開放も試しているが、懸念していたAFポイントの精度も
ポイントを小さくする機能がついていることでかなり使えることがわかった。

人里離れた広大なランドスケープに囲まれているなら、
ワイドのDP1も欲しいところだが、
日本の田舎は、標準とちょい望遠くらいがちょうどいい。
兄貴の自転車を横取りしたので、究極の2台のコンパクトなメリルをたすきがけにして、
八ヶ岳南麓を走り回りながら獲物を探すのが楽しみである。


ゆりは花びらにとげがあった。

こういう雲の描写はシグマならでは。

引き伸ばしレンズロダゴン逆付け+リングライト

中望遠でこれだけ寄れるなら絞り羽根は丸くしてほしかった。

開放

開放

複眼の描写はNikonよりも自然でむしろハッセルHに近い


枯れゆくあじさいが、伯爵の顔で笑っていた。開放 フォーカス∞

逆光もうまく狙えばシグマ特有のカラーフレアは避けられる

アオガエルは逃げない

あぜを歩くと一斉にカエル達は賑やかに田んぼにダイブして、こうしてあたりを伺っている。

ストロボに2千分の一シャッターを使うことで、フィールドは黒バックとなる。

いろんなポーズの奴がいる

リングストロボ

リングストロボ

露光オーバーな緑のエッジも不自然になりにくい

タンポポの綿帽子によくくっついているこいつは何なんだろう?