久しぶりに乾いた涼しい空気が部屋に流れ込んできた。
Nikonから新型のD810が発表されて、そのスペックを見る限りでは
もはや旧型となるD800Eを持ち続ける意味がないような気がしていたので、
そろそろさよならするつもりで70~200ミリに2倍のテレコンを付けて
長靴を履いて外に出た。
今日は風も無く、地面も少し乾いていたので、
以前から気になっていた蝶が頻繁に飛んでいたあたりに行ってみた。
白と黄色の蝶がちらほらと飛んで、
足下の草むらには小さなカエルがたくさん跳ねていた。
本能的に2匹の飛んでいる蝶だけを狙おうと決めて、オートフォーカスを
頼りに撮ってみたが、定評のあるNikonのAFのモードをいろいろ試しながら
狙っても、予測のつかない蝶の素早い動きと、蝶の小ささのせいで
まったくピントが食い付かなかった。
濡れた草の上に片膝をついて、目をつぶって集中した。
蝶がファインダーから外れただけで蝶の姿を見失うような状況では、
おそらくAFをあてにしても必ずシャッターを押すタイミングが遅れることが
容易に想像できた。
なので、テレコンを付けていささかホールドしにくくなってはいるが
マニュアルで蝶の動きを予測して撮る作戦をとることにして、
しばらくは岩のようにじっとして蝶の動きを観察した。
蝶それぞれは別々に飛んでいるが、半径1メートルくらいに別の蝶が近づくと
時折急に接近して数秒〜10秒程ランデブーすることがわかってきた。
近づきつつある二匹を見つけカメラを顔に近づけて
絞りをf10にして、二匹が交錯する瞬間に目測でピントを合わせて
撮ることを約1時間行った。
こういう使い方になると、昔のカメラのファインダーと幅の広い
トルクのかかったフォーカスリングを持つレンズのほうが歩留まりが
あがるだろうなと悔しい思いをしながら、
うっすらと掻いた汗が冷えてきたので家に戻った。
昼食を終えて、パソコンに映し出された写真達は思ったよりも
ピントが合っていた。
Jリーグの創設時に2年間オフィシャルとしてサッカー選手を追いかけ、
昨年マクロで昆虫の貌を撮っていた経験がなければおそらくこれほどは、
ものに出来なかったかもしれない。
たかが、蝶。
されど、蝶。
先日、札幌で撮影したジャンプの葛西選手が、『若い人には負けません。
トレーニングや数値でも実際に負けてないんですから。』
とさらりと自然体で話していたのを思い出した。
今度は新しくなったD810のAFにも手伝ってもらって
再び二匹の蝶を狙ってみようと思う。
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