9月11日、犬の散歩道の脇でアブラゼミの亡骸を発見した。
iPhone4からFacebookへの写真のアップロードのテストと、
適当にダウンロードしたフォトショップアプリを試すために写真を撮った。
12日、すでにアリ?によって胴体部分が持ち去られていた。
もしかしたら雀あたりの仕業かもしれないが、場所はほとんど移動していなかった。
13日、いったいどんな目的なのかは不明だが、
頭部の辺りを中心にアリ塚のようなものが形成されていた。
すでに頭部が崩壊し始めているように見える。
特殊な唾液等で分解を促進しているのか、土壌の働きによるものなのかは不明。
陽が暮れて暗くなっていたために、iPhoneのストロボが自然発光した。
一瞬、セミの体からエクトプラズムが放出されたと驚いて後ろに倒れそうになった。
14日、あきらかに頭部が崩壊しており、アリ塚の砂の粒が粗くなったように見受けられる。
2,3匹のアリの姿はあるが、彼らがどんなマジックを使っているのかは不明。
15日、世界最強の近所のおばさんの掃除によって、
いつ葬り去られてもおかしくない状況ではるが、着々と分解が進んでいる。
やはり分解が進むにつれ砂の粒子が大きくなっているようだ。
左の羽が無くなっている。比較的、手足の太いパーツが確認できる。
16日、外骨格の硬い部分と羽を残して細かなパーツは無くなったようである。。
アリが、何かを運び出している気配がほとんど感じられないにもかかわらず、
わずかに残っていた手足の筋が無くなっている。
アリが巣に持ち帰ったのだろうか?
砂の粒がなぜか細かく元に戻ったような印象を受けた。
砂マジックが終わったのだろうか?
17日、昨夜の強い雨で何事も無かったように、彼のエヴィデンスは消滅した。
まるで低い声で「俺のことは、忘れてくれ」と言わんばかりに・・・・
小学校のラジオ体操で、寝ぼけながら無意識に見つけてしまうセミの抜け殻のせいで、
おそらく男子の脳内には、セミの死生観と孤独なロマンが植えつけられているはずである。
何年も地中で孤独に暮らして、最後の夏に地上に這い上がり
大声で叫び、空を舞う。
そして最後に交尾をして恍惚の「ジジッ・・」
人知れず虫けらとして死んでいく彼らに、一度インタビューをしてみたい。
そして彼らがセミ同士でいったいどんな文化?
を共有しているのか聞いてみたいと願う夏の終わりである。