10.27.2011

横浜ベイスターズ

横浜ベイスターズのメインスポンサーが再び変わるようである。
プロ野球チームを持つ会社なんて誰でも知ってるマンモス企業と思っていたが、
最近は世間の多様化によってあまり関わりのない会社がスポンサーになることもあるようだ。
私個人が社会勉強が足りないのは仕方ないが、
携帯でゲームをやらない身としては、
「横浜モバゲー・ベイスターズ」なる名称は
なんともニュータイプな響きである。


2002年、営業に伺ったことのなかった広告の制作で有名なタグボートから連絡があった。
東京放送=TBSが新規のオーナーになるにあたって、
大々的にキャンペーンを行う為の撮影の依頼だった。
私の他に、スポーツ写真に長けた方も3人キャスティングされていて、
沖縄のキャンプにお邪魔して一泊2日で一気に撮りまくるというものだった。

さすがに、テレビ・BS・ラジオを網羅するTBSという会社のキャンペーンということで
現場の挨拶では名刺がいくらあっても足りないほどだった。
もちろん名刺交換などしない重鎮のような方々も数多くいらっしゃった。

映画「十三人の刺客」で役所さんが叫んだ「斬って斬って、、斬りまくれ~!!」
のような合図を出すことはなかったが、
4人の日雇い浪人カメラマンの
いい首(写真)を取った(撮った)もん勝ちな空気がとても楽しかった。

私以外のカメラマン3人の武器は
当時発売されたばかりのイオスのフルサイズデジタル。
私は当時はまだデジタルに本格的に移行しておらず、
イオスのフィルムボディとハッセルVで立ち向かった。
2日目の朝の集合写真は私の分担だったことと、
4人とも35ミリだけで狙うと絵が似てしまうと判断したからである。
ただ、、デジタルカメラ背面のモニターで絵を確認しているのを見て
「ちょちょ、、いいな、、それ・・」と思ったものだった。

なぜか予算はあるはずなのにADと同じ宿泊部屋になっていて、
少し不思議だったが、なんともAD氏は朝まで飲んでいて
部屋にはほとんど戻らないまま朝を迎えた。

本来は15人くらいの集合であれば撮影用のお立ち台を用意すべきところだが、
打ち合わせではすっとぼけてわざとそこには触れなかった。
経験上、あまりきちんとした台を組んでしまうよりも現場の空気で並びを組んで
撮ってしまいたかったからである。
今思えば、少し乱暴な作戦だったが、その時はそうしたいと思ったのだからしょうがない。
そこに、ほとんど寝ていないAD氏はお立ち台代わりに箱馬を用意して登場した。
東京では、狼の皮をかぶった狼なポルシェで打ち合わせにやってくるAD氏に
箱馬を用意されて、切抜きでいきますといわれたので、台を組んで撮影することにした。
少し変化を付けたくてハッセルの903SWCですこし斜めにに狙って、
一枚ずつ「よ~~こ~まはベイスタッズッ!」と声をかけながら15回ほどレリーズを押した。
わずか数分の撮影の後、AD氏から「掛け声、最高っw」を頂いた。


それからしばらくして、、濡れた手で触るとインクが溶けるんじゃないかと思えるほど
黒インクが山盛りに印刷された巨大なB1ポスターがたくさん送られてきた。
あがりはフィルムでもデジタルでも好きなほうで、、と言っていた意味がわかった。
アメリカンコミックのようでもあり、浮世絵のようでもある。
スタジアムに掲出されるためのとてもパンチのあるユニークな仕上がりだった。

スタジアムに派手に飾ってあると教えていただいたので、見に行った。
横浜スタジアムのいたるところにそのポスターは貼られて、
入り口の導線上には等身大の普通の切り抜き写真の選手達がずらりと並んでいた。
この時、他の方がデジタルで撮ったものと自分がフィルムで撮ったものが
そんなに見た目変わらない感じで見れたことが、
その後、デジタルを導入するきっかけになった。

なかなか複数のカメラマンでひとつの現場で同じ仕事に向かうということはないが、
もしチャンスがあったら、
「撮って撮ってっ撮りまくれ====!」と大声で叫びたいと思っている。

カメラマン4人で戦った2002春の陣 
iPhone4