ネット上で見た「勘三郎さん死去」の文字を見て、
思わず「えっ」と大きな声を出してしまった。とっさに名前の勘違いであってほしいと思いながら、
調べてみたら、五代目勘九郎さんだった。
とても、悲しい気持ちになった。
1998年、大河ドラマ「元禄撩乱」の撮影がスタートした頃に、
月刊現代の「貌」シリーズの連載で撮影に伺った。
歌舞伎役者であるという先入観以外は特段もっていなかったが、
インタビューや撮影時に感じた人柄に一目惚れしてしまった。
歌舞伎役者の息子という宿命に真っ向から向き合っていながら、
誰に話をするにも、決して偉そうに振る舞うことなくフランクに接して、
集まった人達に気持ちよくそれぞれの仕事をさせてくれる
素晴らしい人生の先輩だった。
同時に、大工の頭領のような肉体労働者的べらんめぇなエネルギーと、
アーティストとしての繊細な感覚を合わせ持っているような、
世界のどこでもこのまま通用するジェントルマンだと感じた。
Hasselblad 903SWC f8 1秒 EPN |
インタビューの中でも触れているが、仕事の話もそこそこに、
「楽しさ」や「遊び」をとても大事に生きていることが
ひしひしと伝わってきて、それがまた最高に素敵だった。
宿命の歌舞伎の世界に、新しい「遊び」を持ち込みながら、
精力的に仕事をして、恋をして、酒を飲む。
いつか、再び撮影をさせて頂く機会があったら、
勘九郎さんがどんな顔でお酒を飲むのか拝見したかった。
かっこいい「オトコ」がまた一人いなくなってしまった。
Hasselblad 500CM 100mm EPN |
先輩に負けないように、楽しく生きなければと思う。
合掌