たしかカード会社の会報誌かなにかで撮影させて頂いたと記憶している。
仕事を始めたばかりで、子供の頃からテレビでずっと拝見していた
役者さんのポートレートということで少し緊張したのが懐かしい。
ホリゾントに立った宇津井さんはとても大きかった。
明らかに鍛えていると思われたその体を、
60歳を超えているとは思えない程、優雅に動かしていた。
そして若造のカメラマンに丁寧な言葉で話しかけてくれて、
すべてををやさしく受け止めてくれた。
今思えば、カメラの前に立つ役者の姿、
プロフェッショナルの流儀のようなものを、
初めて教えてくれた方かもしれない。
もし、再び撮影する機会があったなら、
その役柄のほとんどが『いい人』だった宇津井健さんとは
少し違うニュアンスも挑戦してみたかったが、
それも叶わぬ夢となってしまった。
オヤジと同い年の方がまた逝ってしまった。
そして、また遺影が増えてしまった。
役者、お疲れさまでした。
心より御冥福をお祈り申し上げます。
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