8.16.2014

SIGMA DP3 Merrill

SIGMA DP3 Merrillを購入してから約3週間が経過した。
なぜいまさらクアトロという新型が出ているにもかかわらず、
旧型のSIGMA DP3 Merrillを購入したかというと、ネット上の評判や作例を見て
クアトロのセンサーと画像エンジンが未だ完成の域に達していないと
判断したからである。
(ハイライト域、特に雲の描写に於いてクアトロは
はるかにメリルに劣っているように感じた)

今や5万円を切るプライスとなっているメリルシリーズは、
操作性やソフトのじれったさはあるものの、小型のカメラとしては
確実に一歩抜きん出たデジタル写真を生成するおそろしく
コストパフォーマンスに優れたカメラだと思う。

ハッセルHとNikon D800Eという高解像度番長と比べても、
2年間使い続けているDP2 Merrillは決して負けない高解像度な写真を吐き出してくる。

標準レンズ付きのDP2 Merrillの電池室のプラスチックカバーが、
少し前に劣化したようにポロリと折れてしまい黒パーマセルで
無理矢理塞いで使っていることもあって、
気分転換と予備の意味合い(バッテリーは共用できる)もかねて、
中望遠レンズのついたDP3 Merrillを手に入れた。
(クアトロの電池蓋がゴムになっている点を騒いでいるユーザーがいるようだが、
電池消費の激しいこのカメラで毎回電池交換を繰り返してプラスチックカバーが
劣化することを考えるとむしろゴム製のほうが好ましいと思える)


DP3で1500枚程撮影して、現時点で気になっている点。
●個人的にはDP2の方が描写のキレがいい気がする
(もしかしたら旧版とは別物となったソフトのせいかもしれない)
●最短撮影距離が格段に短くなったおかげでかなり使い勝手がいい。
●レンズが大きくなり焦点移動が多くなったせいかバッテリーの持ちが
DP2よりも悪い気がする。(半日で電池3個は必要)
●少しレンズが長いので絞り開放も試しているが、懸念していたAFポイントの精度も
ポイントを小さくする機能がついていることでかなり使えることがわかった。

人里離れた広大なランドスケープに囲まれているなら、
ワイドのDP1も欲しいところだが、
日本の田舎は、標準とちょい望遠くらいがちょうどいい。
兄貴の自転車を横取りしたので、究極の2台のコンパクトなメリルをたすきがけにして、
八ヶ岳南麓を走り回りながら獲物を探すのが楽しみである。


ゆりは花びらにとげがあった。

こういう雲の描写はシグマならでは。

引き伸ばしレンズロダゴン逆付け+リングライト

中望遠でこれだけ寄れるなら絞り羽根は丸くしてほしかった。

開放

開放

複眼の描写はNikonよりも自然でむしろハッセルHに近い


枯れゆくあじさいが、伯爵の顔で笑っていた。開放 フォーカス∞

逆光もうまく狙えばシグマ特有のカラーフレアは避けられる

アオガエルは逃げない

あぜを歩くと一斉にカエル達は賑やかに田んぼにダイブして、こうしてあたりを伺っている。

ストロボに2千分の一シャッターを使うことで、フィールドは黒バックとなる。

いろんなポーズの奴がいる

リングストロボ

リングストロボ

露光オーバーな緑のエッジも不自然になりにくい

タンポポの綿帽子によくくっついているこいつは何なんだろう?


8.04.2014

雷雨と花火

先週8月の1日、お世話になっている会社が持っている
相模湖畔のスタジオ『PALS』で花火パーティが開催された。
目の前でゆっくり花火を見る事が出来そうだったので、
カメラと三脚を持って、八ヶ岳からのんびり中央本線の上り各駅停車で
2時間かけてお邪魔した。


相模湖駅からのんびり歩いて10分程で、開場時間の17時にスタジオに到着した。
平日の金曜日ということもあり、準備スタッフ以外はまだ来てなかったが、
静かに暮れていく相模湖を眺めながらビールを3本頂いたら、
花火の始まる前に随分気持ちよくなってしまった。

ところが、花火開始の10分前に空はあっという間に黒雲に覆われ、
雷が鳴り響きすぐさま大粒の雨が降り始めた。

どう考えても、花火は中止?延期?なコンディションだったが、
なぜか爆発音とともに空に花火があがり始めた。

すでにワインもしこたま頂いていたので、目の前にあったブランデーとグラスを持って
ベランダで三脚に載せていたカメラのところに行き、
ずぶぬれになりながらレリーズを片手にバルブでシャッッターを開けた。

状況の悪い時程、写真は面白い。
それは予想もしていなかった物が、予想も出来なかった形状で
写真に写ったりするせいもあるだろう。
こういうときは用意した手持ちの機材でためらう事なく現場に飛び込むことが、
写真の醍醐味でもある。

音を聞き、
左手でシャッッターを開き、
花火を見て、
右手でブランデーを飲みながら
約1時間、ずぶぬれになりながら相模湖花火大会と雷雨を満喫した。

翌朝、カメラと三脚が無事に八ヶ岳の家にあったのにはほっとした。
どんなに酔っ払っても機材だけは持ち帰る能力には我ながら感心する。
翌日も夕陽を眺めながら二日酔いのまま、
近所のみんなとバーベキューをしていたら、
スタジオの社長から電話が鳴った。
『だめだよ〜一人でブランデー空けちゃ。ちゃんとカメラ持って帰れた?』

D800Eのカードの中には、風に流されて光跡が不自然に曲がる花火と、
美しい鳥の羽のように光を受けて輝く雨がたくさん写っていた。

実は花火が始まったあたりから、記憶がはっきりしない。
あまり見た事のないような花火の写真達と、
洗濯では落ちないブランデーの染みがついた白いTシャツが残った。

人生50年と一日目の 、まさに真夏の夜の夢だった。