先週8月の1日、お世話になっている会社が持っている
相模湖畔のスタジオ『PALS』で花火パーティが開催された。
目の前でゆっくり花火を見る事が出来そうだったので、
カメラと三脚を持って、八ヶ岳からのんびり中央本線の上り各駅停車で
2時間かけてお邪魔した。
相模湖駅からのんびり歩いて10分程で、開場時間の17時にスタジオに到着した。
平日の金曜日ということもあり、準備スタッフ以外はまだ来てなかったが、
静かに暮れていく相模湖を眺めながらビールを3本頂いたら、
花火の始まる前に随分気持ちよくなってしまった。
ところが、花火開始の10分前に空はあっという間に黒雲に覆われ、
雷が鳴り響きすぐさま大粒の雨が降り始めた。
どう考えても、花火は中止?延期?なコンディションだったが、
なぜか爆発音とともに空に花火があがり始めた。
すでにワインもしこたま頂いていたので、目の前にあったブランデーとグラスを持って
ベランダで三脚に載せていたカメラのところに行き、
ずぶぬれになりながらレリーズを片手にバルブでシャッッターを開けた。
状況の悪い時程、写真は面白い。
それは予想もしていなかった物が、予想も出来なかった形状で
写真に写ったりするせいもあるだろう。
こういうときは用意した手持ちの機材でためらう事なく現場に飛び込むことが、
写真の醍醐味でもある。
音を聞き、
左手でシャッッターを開き、
花火を見て、
右手でブランデーを飲みながら
約1時間、ずぶぬれになりながら相模湖花火大会と雷雨を満喫した。
翌朝、カメラと三脚が無事に八ヶ岳の家にあったのにはほっとした。
どんなに酔っ払っても機材だけは持ち帰る能力には我ながら感心する。
翌日も夕陽を眺めながら二日酔いのまま、
近所のみんなとバーベキューをしていたら、
スタジオの社長から電話が鳴った。
『だめだよ〜一人でブランデー空けちゃ。ちゃんとカメラ持って帰れた?』
D800Eのカードの中には、風に流されて光跡が不自然に曲がる花火と、
美しい鳥の羽のように光を受けて輝く雨がたくさん写っていた。
実は花火が始まったあたりから、記憶がはっきりしない。
あまり見た事のないような花火の写真達と、
洗濯では落ちないブランデーの染みがついた白いTシャツが残った。
人生50年と一日目の 、まさに真夏の夜の夢だった。