この季節になると、八ヶ岳ではいたるところに毛虫やみの虫が現れる。車の運転をしていると、なぜかアスファルトの道路を毛虫が渡っていることが多く、対向車があるときはよけきれずに踏んでしまっていることも多いと思う。
普通は緑や茶色でカモフラージュしているものが多いのに、黒と赤というどう考えても目立つ色彩で堂々と草の先っぽで草を食むこいつがとても気になっていた。
写真はクリックでフルスクリーン推奨
ジャコウアゲハという蝶の幼虫らしい。どう見ても宇宙からの侵入者だが、なぜこんなに目立つのに捕食されつくさずに生きながらえているのか気になってググってみたら、どうやら鳥達に食べられないように毒の入った草を食べその毒を蓄積することで、天敵を寄せ付けない身体になったらしい。
自然界ではよく聞く話ではあるが、不思議なのは鳥達が捕食をして具合が悪くなるという
情報をどのように種族の間で伝達し生きながらえてきたのか?ということである。
そして、ほかの蝶や蛾もこのジャコウアゲハが捕食されないという情報をどのようにして得て進化してきたのか理解不能だが、幼虫も成虫もジャコウアゲハにまねて毒は持ってないくせに黒く擬態(ベーツ擬態)してしまった種類も存在するらしい。
水中で一斉に向きを変える魚の群れや、 バッタの大群がどのようにコミュニケーションをとって行動しているのか我々人類は究明することが出来るのだろうか。
もしかしたら人類だけが知らないとても素晴らしいコミュニケーション能力が存在しているのかもしれない。
草の先っぽでホバリングしながら妙なスタイルで水分を吸っているのかと思って写真に撮ってみたら、なんと産卵しているシーンだった。蝶の卵を撮ったのも始めてだ。
葉っぱの裏に蝶の卵があるということは、なんとなく知ってはいたが、産卵したあとに植物が生長することで卵を隠すということになっているんだという事に気づいた。
一体どうやってそんな知恵を伝承して行き続けてきたんだろう?
別の固体の動きを見てまねているのか?彼らの短い成虫の人生で、餌を食い、交配し、子孫を作るノウハウを学び実践するような素晴らしい知能を備えているのか?
ほんとうに自然の世界は不思議なことばかりだ。
子供の頃は、自然界の不思議なんて大人になるころにはすべて解明されて、わかりきったことになるとばかり思っていたが、どうやら人間とはそんなに賢い生き物ではないようだ。
近所にある『オオムラサキセンター』という国蝶の保護センターには、『オオムラサキ』の数百匹の幼虫や蛹がいた。オフシーズンはいつも貸し切りのように人が少ないが、おそらくあと10日もすればオオムラサキと人でごったがえすだろう。
開園の朝9時一番のりでしばらく通ってみようと思う。
写真はすべてSIGMA DP3M