7.27.2015

オオムラサキ


八ヶ岳での最寄りの中央高速インター長坂一帯は、
国蝶オオムラサキの日本一の生息地である。
その生態を観察できるオオムラサキセンターもあり、
成虫が飛び交うビバリウムでは、遠足の子供達でいつも賑わっている。
梅雨の前からカメラを持って通うようになり、
今日、ようやくオオムラサキの卵を発見した。

(写真はすべてクリックで拡大出来ます)
孵化してこっそり地上に降り、
落ち葉などの裏に隠れて厳しい冬を乗り越えるらしい
無事越冬して生きながらえた幼虫は、新緑の頃に樹に登り、
常に細い糸を出して命綱にしながら枝を歩き、葉を食べる
体液を吸う天敵の攻撃には固い兜で覆われた頭部で対抗するらしい 
犬の顔にも見えてとても可愛い
枝の先まで行く着くと、後ろ足で身体を支えて
行き先を探るようにチューチュートレイン。
尻尾を固定してサナギになる準備を始めたようだ
この美しい殻の中では『溶解現象』といって一旦どろどろに溶けた後に
成虫の身体が再構成されるという。
溶けてしまったらそれまでの記憶は残るんだろうか?
『溶解現象』の仕組みが解明されればクローンなんか簡単に出来てしまいそうだ。
ベテランの係員にいろいろ教わりながら、NHKの取材があったら、
是非『溶解現象』の科学的な映像を撮るようにお願いして下さいと伝えた。

そんなベムベラベロなことになっている時期でも、
天敵が現れたら身体を激しく動かす技も持っている。


当然ながら、他の虫達の餌食になるものもいる。
羽化した瞬間。思ったよりも早く、数分でスルッと出てくる。
羽化したばかりの成虫は大量の体液を腹に抱えている
体液をゆっくりと羽根に行き渡らせて、
余った体液を放出しながら2、3時間は動けないようだ。
彼らは基本的に花の蜜は吸わない。スズメバチとも対等に樹液を吸い、
時には豪快に羽根をばたつかせてカブトムシ等もたたき落とすことがある。
通常の蝶の数倍はあるボディと力強い羽根のエネルギーのために
花よりもたくさん栄養が摂取できる樹液を吸うようになったらしい。
大きな身体と産卵に備えてなのか、メスの方が食欲が旺盛に思えた、
(黒い羽根はメス)
顔のそばを彼らが飛ぶとびっくりするような羽音がする。
一般的な蝶の『ひらひら』感ではなく、
むしろ鳥に近く『バサバサ』と風圧を感じる。
忙しく動き回るカブトムシに比べて、
あまり動かずに樹液を吸うオオムラサキメスの貫禄
身体も大きく運動性能も高そうなメスのアクロバチックな飛行に食い付いて飛び、
その能力を認められたオスが交尾を許されるようだった。
触覚や手を交差させて互いを確認していた。
大きな黒いほうがメス。小さくて青いほうがオス。
オスのアタックをかわすそぶりは、人間も蝶もあまり大差はないような気もする。
踏んづけてでもお尻を追っかける。
飛んでるものはなんでも追っかけるオスは
鳥の後を追い同じ速度で飛ぶこともあるらしい。
羽根の傷ついたメスが忙しそうに、いたるところに産卵していた。
最後には、彼らのインタビューが欲しいところだが、
残念ながら話は聞けなかった。