始めは、美しい雲とそれに伴う山々の美しさばかりに目を奪われていたが、
田んぼの季節の移り変わりと、その懐の深さがとても素晴らしい。
数ヶ月ものあいだ雪に覆われていた田んぼから、
雪解けとともに爆発するように植物が育ち花々が咲き乱れ、
水引きされた田んぼの水面は夕陽を映し出す美しい鏡となる。
いつのまにおたまじゃくしを卒業したのか、カエル達の大合唱が響き渡り、
蛇達がカエルを求めてあぜの雑草をするすると這っている。
ぶあつい雪と氷に閉ざされたかと思うと、稲の刈り残しごと焼き尽くされ、
トラクターの鋼鉄の牙ですさまじくシャッフルされたはずの土の中で
虫や動植物達は一体どうやって子孫を残し、姿を現すのかとても不思議だ。
一方で、水面に断末魔の激しい波紋を残し入水自殺する羽虫もたくさんいる。
生き物達の輪廻に畏敬の念を感じずにはいられない。
ぎゅんぎゅんと音を立ててあぜの草を刈る農夫達が、
刈っても刈っても生えてくる草をなぜ抜かないのかと始めは思ったが、
それも植物の根の力であぜを守るためだった事も知った。
見てないようで、水の流れにとても気を使っていることも知った。
富士山に積もった雪溶けの模様を農作業の合図とする
『農鳥』という言葉も初めて知った。
(今年はゆる〜い『農ひよこ』だった)
雪かきでスコップに蹴りを入れ、あぜを歩き回って写真を撮った
フルタイムな相棒の長靴にも大きな裂け目ができてしまった。
そろそろ新しい長靴を探そうと思う。
田んぼというホリゾントの写真達。
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追記 5月19日。
昨日の夕方、田植え直前にしてようやく無風状態で撮影することが出来た。
田植え開始にて、鏡面田んぼミッションはまた来年。。。