東京と山梨を往復する暮らしを楽しんでいたら、
ブログの更新を三ヶ月も放置してしまった。
Facebookで時折、写真をあげて遊んでいると、
ネットとの付き合いも、それでお腹いっぱいになるのかもしれない。
来年はどうやら羊の年らしい。
羊の写真を探して古いハードディスクをひっくり返していたら
懐かしい写真を発見した。
2008年に2度目に奥田さんの庄内にある『アルケッチャーノ』を取材した時のものだ。
十数年前に、立て続けにヨーロッパ中の星レストランを駆け巡って
美味しいとはどういうことか少しわかっていたような気がしていたが、
食事をして、涙が流れたのは『アルケッチャーノ』 を初めて取材した時だけだ。
奥田シェフは、到着した取材陣を、挨拶もそこそこに車に載せて、
自らハンドルを握り、いつも食材を調達している
庄内の畑、山、牧場、はたまた道ばたに我々を案内してくれた。
ぐだぐだと机上で話をするのではなく、道ばたに生える草を口に含み、
羊を走って追っかけ、畑から活きのいい野菜を引っこ抜いて
車に放り込む様を見せてくれた。
その食材たちが調理され盛りつけられた料理達を、
写真を撮り、座ってゆっくり口に入れた瞬間、
身体が勝手に反応して、涙が溢れ出た。
旨いとか、美味しいとかの感覚とは別の回路が働いたように勝手に涙が流れた。
あまり人前で泣く趣味はないが、うかつにも奥田さんに見られて笑われてしまった。
食べ物を頂くということのシンプルな意味を、
奥田さんに教えてもらったと思っている。
最近、言葉では言い表せない不気味なエネルギーが
じわじわと我々を包み始めていると感じることがある。
正直なところ、新たな年、未来がどんなことになるのか、よくわからない。
政治、経済、放射能問題、秘密法、国際問題etc.
本当の歴史とは、実はほとんどの人が窺い知れないところで
流れていってるような気がしている。
つつましく、自分の身の回りにある幸せをかみしめながら、生きていこうと思っている。
どうぞ、皆様、よいお年を。
来年も、よろしくお願い致します。
大晦日二〇一四