1.21.2015

つらら~Quintessence~

山梨での冬の朝のルーティーンはカーテンを開けて、サッシの露結模様を撮り、
外に出て山や雪や空を眺めたり写真に収めたりすることだったが、
最近はもっぱら、近くの舗装道路に挟まれた小川の『つらら』に夢中である。

刻々と形を変えながら、柔らかく溶けかかる丸い曲線や、
ぎしぎしと音を立てるようなざらざらとした氷の表面のまだら模様、
不思議な生き物のような形状になったつらら達を、
激しく流れる冷水でSIGMA DP3Merrillをびちょびちょに濡らしながら、
日々、淡々と撮っている。


モニターに映し出された写真を眺めていたら、ふとある事を思い出した。
フリードランダーの、砂漠のサボテンの写真集だ。
都会のあらゆるものを精力的に作品にしてきた彼が、
ある時期、ニューメキシコの砂漠で、サボテンと砂ばかりを撮っていた。
見聞きした写真の歴史の中でも、自分の中で大きな謎だった。

SIGMAのコンパクトカメラを手のひらで包んで、
まぶしい朝日の中でよく見えないスクリーンはあまり気にしないで、
ただひたすら気になったつららにレンズを向けてシャッターを切る行為が、
ハッセルのSWCを、大きな手のひらでわしづかみにして、
あてにならないビューファインダーはあまり覗かずピント目測で、
淡々と手のひらごとカメラをサボテンに向けてシャッターを押していたと思われる
フリードランダーと同じようなことをしている気がして、笑ってしまった。

寒さはこれからが本番となる。
エッジの効いたつらら達の登場に期待しているところである。

●写真61点
 (写真はクリックしてフルスクリーンで御覧下さい)





























































大きくなりすぎたつららは、自らの重さで丸ごと川の流れに身を投じて、再び輪廻の旅にでる。