仙台塩釜の港のガードレールは飴のようにとぐろを巻いていた。
3ヶ月を経てもなお、海岸線から数百メートルは離れている金網に
小魚が引っかかったままになっていた。
翌11日、夜更けから嫌な小雨が降っていたが、
夕方からの撮影までは時間があったので、
仙台塩釜港の南側の蒲生という津波の被害を受けた地区を見に行った。
現場に着くと急に空が晴れ渡り、強い日差しが照りつけた。
写真を撮るつもりはなかったが、太陽から「撮れ」と言われた気がして
カメラを持って車を降りた。
2時46分にサイレンが鳴ることはなかった。