ちょうどカメラマン独立の年に日本でのプロサッカーリーグが始まった。
師匠の瀬古さんの推薦を頂いて、
読売ベルディの専属オフィシャルフォトグラファーとなった。
実戦の撮影で望遠レンズ中心にカメラをラフに
使いこなすことを憶えることが出来た。
ろくに仕事も無いデビューの2年間、なんとか食いつなげたのも
この仕事のおかげであり、瀬古さんにはとても感謝している。
ぶれを活かした写真や、中判によるネガ撮影等、
試験的にいろいろ試みたが、
ひととおり記録としての写真もおさえなければいけないという
仕事のジレンマも感じることが出来た。
この頃のベルディのメンバーは、
カズさんやラモスさんを始めとして、
キャラクターがバラエティ満点で、
練習もキャンプも、撮影していてとても楽しかった。
始めから身近で撮影することが出来たおかげで、
その後のいろいろなポートレート撮影において、
すぐさま、ふところに飛び込む感じを体が憶えたんだと思っている。
400ミリや600ミリの望遠レンズを振り回して写真を撮ることは、
実はそう簡単なことではない。
絞りとシャッタースピードの組み合わせや
どのくらいまでAFが使えるのか?
自分の反射神経が、どこまでカメラとリンクするのか、、
どういうシーンや、間合いになった時に
迫力のある絵が捉えられるのか?
始めの3ヶ月くらいは、失敗の連続だった。
半年程経って、ようやく思い通りに使いこなせるようになったと記憶している。
望遠レンズの使い方をマスターしたおかげで、
どんな撮影でも、臆すること無くバリエーションが可能になるし、
実はスタジオ撮影でも200ミリクラスになると
いかにレンズを使い慣れているかが写真を決めることも多いと思う。
屋外でアサヒスーパードライのポスターで、イメージガールを撮っていても、
スタジオでナイキのポスターで、一流のアスリートを撮影していても、
今だにこのJリーグの仕事で培ったノウハウには感謝している。
Canon Eos1N 600mm F4 1/500 RHP