放射線写真(前回ポスト)とくれば、次は赤外線写真である。
目が眩むような強い日差しを見ると、赤外線写真を撮りたくなる。
目の前の景色がとろけながら、貧血で目の前が真っ白になる瞬間に
網膜に浮かぶような、そんな白昼夢のような写真になる。
植物の葉が白く輝き、青空が黒く沈む。
人肌は、透き通るように光り、血管が浮かびあがる。
フィルム時代はコダックやコニカの赤外線フィルムで、
かぶるのを誤魔化しながら、撮影したものだが、
デジタルになると、フィルム装填の煩わしさから開放されて、
赤外線フィルターをレンズ前にかざすだけで、
フィルターやセンサーの種類に応じて、独特の色味の赤外線写真を撮影することができる。
赤外線の量によって、カメラを固定する必要があったり、
赤外線のピントずれ分を調節する必要があるが、
それもデジタルカメラのモニターで確認することが出来るので、
随分、お手軽になった。
ただ、一時期赤外線フィルターによって服が透けて撮影できるということで、
マスコミに騒がれたせいか、日本国内では赤外線フィルターの種類が少なく、
微妙な波長の違いのフィルターはサイズ種類ともに日本では入手しにくいことと、
黒いフィルターを付けたカメラを人に向けると、変態扱いされることがあるのが残念である。
一般的なデジタルカメラでは、赤外線をはじくようなフィルターが
センサーに装着されているので、そういうものが付いていないシグマやライカのデジタルや
デジタルバック等の機材でないと、思うように赤外線がセンサーに届かない。
暑かった昨年の夏、
海外の通販サイトで入手したHOYAのINFRARED[R72]フィルターと、
ローパスフィルターを持たないシグマDP2をぶら下げて、
ちゃりんこで代々木公園(上)と日本近代文学館(下)を散歩した。
ともに、色味を抜いて、コントラストを調整している。
たしか、両方とも絞りは5.6シャッターは10秒ほど。
今年の梅雨が明けたら、
デジタルバックで人物の体が透き通るような赤外線写真でも撮ってみようと思っている。