7.18.2011

Ozwald BOATENG

勲章も授与されたイギリスのファッションデザイナーである。
確か2000年頃にサンエーとの契約で日本でブランドを展開していた時期だった。
テーラードなラインとユニークな色や素材を融合させたスーツは、とても面白かった。

雑誌BRUTUSの特集ページで彼のポートレートの撮影をさせていただいた。
スケジュール確認の電話で速攻「モノクロでやらせてもらってもいいですか?」と尋ねた。

テーラードを学んだ黒人デザイナーの手と顔のモノクロプリントがあれば、
必要十分であると、瞬間的に判断した。

おそらく今時であれば、デジタルで撮影したサムネイルを
「いちお、カラーのも入れといてください」
と言われるまま、なんとなくパソコン上でカラーもモノクロもシャッフルされて表示され、
セレクトされるところだろう。

もちろん確固とした意思(エゴ)表明として、
モノクロだけのセレクトしたデータを見せるのも大事だとは思うが、
「カラーも見せてください。。あ、あとアザも入れといてください」
と言われてしまうと、「やだ」とは言いながらも渡すことになってしまう。

この何でもかんでも軽い気持ちで見てしまうという作業が、
なんだか、最近、、少し嫌いである。


この時は、わざと顔と手の四つ切プリントを用意しただけだった。
手の外側の黒い肌と、上品になめされたような黒人の手の平のコントラストは、
間違いなくページのコンセプトとマッチすると思っていた。

(この頃、プリントで入稿するとありえないくらい埃ごと
スキャンされたまま紙面になることが時々あった。)

この時も、そんな埃だらけのプリントには見えたものの・・・
裏のページが透けて見えてはいたものの・・・
編集の企画と写真、デザインとが見事にはまった、今でもお気に入りの見開きとなった。

Hasselblad 100mm  チューブ付き トライX