7.27.2011

Rolleiflex

数あるカメラの中から、作品用に一台を選んで旅に出ろと言われたら、
ぼろぼろの愛機ローライフレックス2.8GXを選ぶと思う。

今では滅びかけている2眼レフだが、
この刀を一本だけ持つと決めた瞬間に、写真の神様が召喚されると思えるほど、
魔法属性が高いカメラである。

数値的な性能には表れない、
シンプルに、静かに、被写体に対峙するという
もっとも写真にとって大切な「何か」をもたらすカメラだと思う。

ローライで撮影したモノクロフィルム現像とプリントの洗礼を受けた方でなければ、
ご理解頂けないかもしれないが、フォコマートⅡcでびしっとくるトーンが出せた時は、
写真の中心で愛を叫びたくなる。

そろそろ、デジタルアレルギーで、
衝動的に2台のローライを持ってどこかに行きたくなる。

(約13年前にドイツで購入してあるミントな2.8Fのフルセットは、
裏蓋にさびが浮いてきたぼろぼろの2.8GXとは対照的に、
時間が経てば経つほど、艶が出て美しくなってきてるようにも見える。
私があと4,50年生きたとしても、多分ピカピカのままだろう。
よく出来た工業製品の中にあっても2.8Fの枯れることを感じさせない
工芸的な美しさは目を見張るものがある。)


写真は、スタジオマン時代にスタジオの仲間と
八丈島に愛を求めて旅をした時のものである。
ローライフレックスを手にすると目の前の世界すべてが
自分のスタジオになった気分で写真を撮っていた。
目の前にいる人が、みんな素晴らしいモデルに見えた。
そんな時代のお気に入りの一枚。
(追記:地元のライフセーバーに一言「飛んでくれ」のローライマジック)

Rolleiflex2.8GX トライX