1998年、シートベルトのTAKATAの会報誌「FASE」の取材で、
プロデューサーでもある編集長の山本さんと
レンタカーでのドイツ一周約2週間の旅に出た。
どこに行っても、川があり教会を中心に街が広がっていて、
それらを繋ぐようにアウトバーンが整備されていて、
街に近づく度に強制的にラジオから道路情報が流れ、
自然に車の流れが遅くなるように道路が工夫されている。
街には必ずといっていいほどサッカーボールの看板が立っていて
サッカー場があることがわかる。
市街地の道路にはアスファルトを盛り上げた障害があり
低速での走行が義務付けられる。
それを抜けると「ダンケ」の看板があり、
ふたたび速度制限なしの高速道路へと繋がる。
車社会一つを見るだけでも、
ドイツの大人なお国柄を感じる事が出来た。
スイスで通行税を払っていなくて罰金を取られたり、
ポルシェ博物館が休館だったり、
紫のスーパーカーが集まっていたバーデンバーデンの温泉で
白人美女と素っ裸で混浴したり、
ドイツ最高峰のスキー場にロープウエイで上ったり、
ドナウの流れを見ながらランチをしたり、
ちょうど開催中だったフランスワールドカップを
ビール片手にパブで観戦したり、
みんなの真似をしてゴールが決まる度に
クラクションを鳴らしたりしながら、、、
車にまつわる写真を撮り、
メルセデスやBMWのスタッフのインタビューや写真取材をした。
写真はUlm(ウルム)という街で宿泊した小さなホテル。
外から見ると、傾いている古い建物だが、
内部は意外に近代的なリノベーションが為されていて、
柱や壁は曲がっていたがとても贅沢な空間だった。
なぜだか忘れてしまったが、どうしてもキャッシュが必要になって、
ホテルの近くの銀行で、シティバンクのカードが時間制限で
ディスペンサーに飲み込まれて、戻ってこなくて大慌てしたこともあった。
古さと新しさをきちんと混合しながらも、
美しい町並みや、黒い森を維持して、
まっとうな社会のシステムを実現している
ドイツという国は、とても素晴らしいと感じた。
(時々、デモで大暴れしているのも、
ドイツだと許せるような気さえしてしまう)
日本と同じ第2次大戦での敗戦国であるにもかかわらず、
大人な歴史を刻んでいることが少し悔しく思えた。
いまだに仕事をしないで内輪もめばかりしている政治家に任せていたら、
日本は、いつまでたってもいきあたりばったりな国にしかならない。。
国民総生産が何位とかじゃなくて、
そろそろ別の次元の政治が、求められていると思う。
Hasselblad 903SWC ネガ スープラペーパー