1.26.2013

新宿秘宝館

 ちょい変態な先輩が新宿駅南口そばにて運営されている
怪しいギャラリー「新宿座」に伺った。

新宿秘宝館と題された会場に入ると、
なんともいえない「匂い」にやられてしまった。

一部の展示をのぞいて撮影可だったので、
かつて鳥羽のエロ秘宝館に展示されていた人形達を、
一期一会な気分で撮らせて頂いた。

























カメラは全てNikonD800E 35mm f/1.4G

「新宿秘宝館」27日まで。
明日26日は、ゾンビも出現するらしい


1.16.2013

大島渚

またもやFacebookの書き込みに「えっ!」と声を出してしまった。
大島渚監督が亡くなられた。
テレビの生番組であろうと、言いたい事をはっきりと口にして、
時には手も出してしまう頑固者のかっこいい先輩が
また一人いなくなってしまった。

西暦2000年、「愛のコリーダ」がノーカット版で復活する際に、
雑誌Frauの取材で鎌倉のご自宅にお邪魔した。
道に面した黒い壁に圧倒されたのを憶えている。
縁側のある平屋の和風建築にお住まいなのは、正直さすがだなと思った。

写真のミッションは監督のポートレート3点と
御夫婦のエピソードがらみのブツ一点だった。
どうしてもワンカットはストロボで撮りたかった。
監督のご自宅のコンセントをエクスキューズしたくなかったので、
用意していた積層電池式のナショPを、
居間で待っている間に傘バンにセッティングした。

程なく、既に40年連れ添っておられる奥様の小山明子さんが
監督の手を持って、居間に入って来られた。
数年前に患った脳出血のリハビリ中で、不自由な足を引きずりながらだった。
(「御自分の足で立ってる写真を撮るのは、今しかない!」)
監督を怒らせたら撮影なんて一瞬でNGになるだろうと
気にしていたにもかかわらず、挨拶もろくにしていないまま
「監督、そのまま撮らせて下さい!」
と叫んでしまった。
露出も計らずに、出会い頭に向けたカメラに笑顔を作って下さった。
奥様の入れて下さったお茶を飲んで、やっと気持ちが落ち着いた。

Hasselblad 500CM 100mm Try-X
そして、縁側でお二人で並んで座って頂いた時に、
監督は口には出さないが、顔の表情がうまくいかないようで、
どうにも居心地が悪そうだった。
2カットも御夫婦で手を繋いでいる写真はどうなのか?とも思ったが、
奥様に手を添えて頂くようにお願いした。

Hasselblad 500CM 80mm Try-X
とても上品に優しくして下さった奥様のおかげもあって、
いい写真を撮る事ができた。
そのあと、縁側でのお一人のポートレートと、
居間に飾ってあった、エッフェル塔の前で
撮影されたお二人の写真が収まった小さなフレームを撮った。
今でも、手を繋いだ写真を撮ることにこだわっているのは、
この撮影がきっかけだったような気がしている。
監督、奥様、どうもありがとうございました。

自分が40代になった頃、きっと近い将来、
撮影した大先輩達が鬼籍に入るような時期が
来るんだろうなとうすうすとは感じていたが、
そろそろ、そういう時期に突入してしまったようである。


写真は、撮影した瞬間から、遺影になる魔力を持っている。
肝に銘じて、これからも肖像写真を撮っていこうと思う。


大島監督、お疲れさまでした。
思い切ったテーマや、大胆なキャスティングの映画達を
今後もゆっくり見させて頂きます。

合掌


1.14.2013

ハニーの2周忌

ハニーが死んで2年が過ぎた。

時折、街でビションフリーゼを見かけると、
小さな声で「ピシッ、ピシッ」と声を出してみる。
ハニーの生まれ変わりなら、丸い目をこちらに向けて
吠えながら走ってくるはずだが、
未だに反応してくれる奴はいない。

2年経っても、心の底でぽっかり空いた穴は埋まりそうにない。





まるでハニーがお腹を空かせて大空を駆け巡り、
ふわふわの白い毛が舞い落ちてくるように、
東京に白い雪がたくさん降った。

ハニーの遺髪 iPhone5 

1.03.2013

SIGMA DP2 Merrill

どさくさまぎれの選挙で2012年は幕を閉じた。
よくわからない結果となり、具合が悪いと言って総理大臣を辞めた方が
再びその座についたようである。
震災復興、放射能問題、長引く不況という状況の中、
日本が終わるか終わらないかの選挙になるはずという幻想が、
粉々に砕けてしまった。
もちろん一度の選挙で何かが大きく変わるとは思っていないが、
結局のところ、政治や利権の世界は、
選挙では何も変わらないと落胆したのは私一人ではないはずである。
もしかしたら、この国における民主主義というものは、
実は存在していないのではないか?
戦後の高度経済成長という名の下に、
民主主義をどこかに置いてきてしまったような気がする。

そんな大晦日に気分を変えたくて、
一日早い自分へのお年玉として
コンパクトデジタルカメラ-SIGMA DP2 merrillを買った。
元旦に両親を訪ね、今日初詣に行った際に携行して撮ってみた。
その画像の解像感と素直な描写に今更ながら驚いてしまった。
以前のモデルのDP2を使っていたこともあるし
ネット上の作例写真を目にはしていたが、実際に自分で撮ってみて
やはり手に入れて良かったと思えるカメラに進化していた。
現在、使っているHasselbladのH3DⅡ-39やNikonのD800Eにも
決して負けないどころか、むしろ裸眼で見た空気感をいとも簡単に
そのままモニターに再現するような「新しい」デジタル画像に嬉しくなってしまった。
このカメラと同じセンサーをもつレンズ交換のできるSD1という一眼レフボディーも
存在するが、レンズ交換を捨ててビルトインレンズ専用にチューニングされた
フォビオンセンサーによるストイックなDPシリーズは、
世界で最も夢のあるカメラの一つであると思う。

写真は全て絞り優先オート、ISO100
SIGMA Photo Pro5.4によるX3F(RAWのまま)のニュートラル現像によるjpg
(ちなみに2倍現像というモードでは
9408×6272ピクセルのモードを選ぶ事も出来る)
つまり純正ソフトでそのまま現像しただけのsRGBのjpgである。
是非とも写真を右クリックで別ページで開いた上で
写真をクリックして右肩のView all sizesから
等倍表示(Original4704×3136)で見て頂きたい。
うん十万円もするレンズと数百万円もするデジタルバックにも
負けていないと思える小さな前玉のレンズの小型カメラによる解像性能と、
抜けの良い素直な質感描写は、
フォビオンセンサーを経験していない方にとっては、驚くべきものだと思う。
ブレとピントをケアーして丁寧に撮影する自信があるなら、
この約8万円のカメラはとんでもない宝物となるだろう。
(撮影データはフリッカーページの右下のAditional Infoで)

  
_SDI0365

_SDI0345


_SDI0449

現状のカメラのレスポンスや、データのハンドリング等では、
連続して大量に撮影する仕事に本格的に導入するのは厳しいが、
SD1の後継機の出来具合や、ボディと相性のいい
高性能なレンズが出揃ったとしたら、かなり美味しいシステムになるだろう。

もし仮に、NikonのボディにSIGMAのフォビオンセンサーを
搭載したとしたら。。。
ジャパンブランドの再生の足がかりにもなるような
素晴らしいカメラが生まれて、既存の制度や政治や利権に惑わされずに、
世界に通用する新しい製品作りのきっかけにもなると思う。

謹んで新年の喜びを申し上げるのが、日本人の美徳であるだろうが、
これからは、あまり謹まずに、個々が大胆に生きなければいけないと思う。
政治や利権の世界とは別の、もう一つのパラレルな世界で、
もう一つの幕府を作ってしまうほどのムーブメントにならなければ
日本は変わらないだろう。

それぞれが、心に火を灯しながら、
思うがままにに生きることが大切だと思う正月となった。

今年も、どうぞよろしくお願い致します。