1.27.2018

水の化身

雪が降り気温が下がって自然の貌ががらりと変わった。
昼間でも気温がマイナスの時は、カメラも身体もあっという間にバッテリーが切れるので車からのアクセスがいい場所に出かける。偶然見つけた大武川上流の広大な河原は川べりに車を止めてそのまま撮影モードに入ることができる。ただ、この時期はアウトドアを楽しむ人も皆無で、いるのは猿の群れと雪に覆われた山の急斜面を華麗に飛び跳ねて移動する鹿くらいだ。小雪が舞って川の音しか聞こえない状況でひとりっきりで猿の気配を感じながら被写体に集中するのはなんとも心細い。そんな気分で河原のつららをじっと眺めているとその造形がなんともおどろどろしく見えてくる。普段は液体や気体で自由に動き回っていた水の妖精が、凍りついて氷の中に封じ込められることで獰猛なもののけとなって氷の中から慟哭とともに体をくねらせて抜け出そうとしているように見えてくる。
こういった自然界の様々な現象や畏れが、古くから世界中で言い伝えられ、物語となり魔法を生み、さらには宗教となってきたのがよくわかる気がする。人間と自然の結界を越える時、なにがしかの祈りが必要だと思うようになった。

写真はすべてSIGMA DP3 Merrill クリックでフルスクリーン推奨









横谷峡屏風岩の氷柱
原村からの雪山
蓼科大滝
霧ヶ峰ヴィーナスライン
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