9.28.2012

城島健司

近くの蕎麦屋に夕食に出かけた。
いつものようにスポーツ新聞を拡げたら、
城島選手の引退という文字が踊っていた。

城島選手を撮影させて頂いたのは2度。
一度目は、16年前、
デビューして頭角を現し始めた二十歳の城島選手だった。
雑誌ポパイの20周年を記念して、
二十歳の有名人を十数人撮影したうちの一人だった。

グランドで待っていたら、見るからに爽やかな
それでいて、すこしやんちゃでハンサムな城島選手の登場に、
もう、そのまんまでっ!ということで、写真を撮らせて頂いた。
とてもフランクで気さくな話し方が印象的だった。

Hasselblad 500CM 80mm

それから10年後、
2度目の撮影は2006年、ナイキの野球用カタログの撮影だった。
メジャーリーグで大活躍しての凱旋帰国中に
故郷の佐世保の体育館で、
バックペーパーと大型ストロボを持ち込んで撮影した。
(データを見ると絞りが16になっている。
何も考えずにフィルム時代と同じに絞っていたのが懐かしい)

手に入れたばかりのEos1DsMarkⅡ 70-200mm
海の向こうで、ベースボールという野球とは少し違うスポーツにおいて、
ルールもピッチャーの性格も異なるにもかかわらず、
捕手としてレギュラーを勝ち取った彼は、
新たに身につけた筋肉の鎧で一回りも二回りも太く大きくなっていた。
野太い声ではあるが、言葉を選びながら優しく話す姿を見て、
彼のアメリカでの苦労や経験をひしひしと感じた。


野球もベースボールも第一線で活躍して、
捕手を務めながら、バッティングも素晴らしい成績を残している。


しかも、自らの捕手の経験を活かして盗塁も決める。



そんな二十歳だった彼もとうとう引退である。
あれから、もうそんなに時間が経ったのかと、
蕎麦をすすりながら、ため息をついた。

ここだけの話、城島さんの顔つきは、
野球界のメル・ギブソンだと勝手に決めている。
そのうち大河ドラマあたりに登場してもおかしくないと思っている。

9.19.2012

Black Writing Fluid 墨汁

先日、東京写真研究倶楽部に行ってみた。
会費は撮影する人は3000円、ひやかしは1000円。
あらかじめ提案された内容にそって、自分の用意したブツや、
ポートレート等を撮影する。
夏に行った「企救中」写真展にも高井さんには来て頂き、
APAでもお世話になっていることもあり、いい歳こいて参加させていただいた。
水物の撮影日ということで、高井さんにお許しを頂いて、
洗えば落ちるという墨汁を購入し、パソコンとカメラを持参した。

ヒヤヒヤしながら、後ろで見ている高井さんに、
4×8のアクリルを汚したら、買取だぞと釘を刺されながらも、
用意して頂いていた養生された立ち位置で、墨汁をぶちまけた。

何を隠そう、墨汁をぶちまけるのは、自宅の風呂場でも出来るし、
実際に何度も風呂場で水を使った撮影はしている。
なぜ、わざわざ、高井さんの顔色を伺いながら、出向いたかというと、
高井さんのスタジオの大型ストロボはブロンカラーだからである。
高速閃光の撮影において、大型ストロボを使うなら
選択肢はほとんどないといっても過言ではない。
思ったとおり、水の激しい動きもぴったし止まっている。
通常の大型ストロボも最小パワーで発光させれば
そこそこ止まるが、ここまでぴたりとは止まらない。

右手で墨汁を投げて、左手でレリーズを押すという状況で、
何も写ってなかったり、思うように形にならなかったりした。
墨の量が少ないのが、気になっていたが
なんとか、撮影することができた。

高速撮影は、なんとも面白い。

Roy Tanck's Flickr Widget requires Flash Player 9 or better.

Get this widget at roytanck.com

選んだ写真を、ネット上でつくれるフラッシュにしてみた。
Flickr widget
フリッカーページのfeedのリンクをコピーすれば簡単に作成できた。


9.09.2012

フレスコジクレー

昨日、所属している日本広告写真家協会APAが定期的に行っている
カメラマン自身による写真の上映会に参加した。
大先輩の小島由紀夫さんがその際に見せてくれた
小さなインクジェットプリントにドキッとした。
フレスコジクレーという、漆喰をインクジェット用の紙にしたものだった。
なんともいえないテクスチャーと物質としての存在感を感じて、
すぐに試してみたくなった。

新宿のヨドバシで在庫を確認して、先ほどテストパックを持ち帰った。
慌ててテストしたために、マットブラックに差し替えるのを忘れてしまい、
4枚しか入ってないのに、一枚を無駄にしてしまった。

写真やデータの入った丁寧な解説を読み直し、
手差しで慎重にプリントしてみたが、
正直なところ、かなり手強い。
まず、インクの滲みがかなり出てしまうようである。
もちろん湿度やロットの状況もあるだろうが、
開封してすぐにプリントしているにもかかわらず
これだけ滲むのには驚いた。
しかも乾燥して色が落ち着くまでにかなり時間もかかる。
推奨プリンターがPX5Vであるのも、少し気になるところである。

1996年に初めて見たミケランジェロの漆喰の天井画の写真を、
ひさしぶりに引っ張りだした。
そして、約500年の時を経て、再び漆喰のインクジェットペーパーに定着させた。
不便なことはいいことだ。
しばらくは写真ルネサンスで遊べそうである。

オリジナル:Hasselblad500CM 80mm 開放 1/125 ISO400ネガ
iPhone4