4.29.2011

今村昌平

1998年、今村監督の写真を撮らせて頂いた。
前年に「うなぎ」でカンヌのパルムドールを受賞していた監督は、
杖をついて関係者に支えられて、摺り足ですこしづつ歩きながら部屋に入られた。
正直、それほどまで足が悪いとは思っていなかったし、
このコンディションで映画の監督をされているというのに驚いた。

監督の写真を撮りにきましたと挨拶をすると、
体の動きとは全然別の人格のような笑顔で
「このとおり動けないぞ」
「全然、大丈夫です。一番楽な姿勢でいて下さい」
するととなりにあった椅子をずらして足をのっけた。
みるからにやんちゃな小僧のような笑顔でタバコをずっと吸っていた。

がんこそうに振舞ってはいるものの、
写真を撮りにきたあんちゃんに最大限のサービスをしてくれていると感じた。

こういうときは、下心をだして余計な事をしてはいけない。
この状況をそのまま押さえることも写真の役割だと思う。


「復讐するは我にあり」や「楢山節行」などで、
人間の業や欲のようなものに正面から向かっていく作風がとても好きで
一見、やぼったくみえてしまうシーンもあるのだが、
それすらも人間なんて所詮こんなもんなんや、と強く語りかけてくれているようで、、、
日本人の倫理観や人生に対する考え方をひしひしと銀幕から
伝えてくれる素晴らしい映画監督だと思っている。



「黒い雨」で主演をつとめた田中好子さんが亡くなってしまった。
先月、田舎で中学の同窓生達を撮影した夜に、
幼馴染の女性たちによるキャンディーズのメドレーカラオケを
楽しんだばかりだったこともあり、、、、、とてもショックである。

「必ず天国で被災された方のお役に立ちたい」
という命をかけた肉声を残したスーちゃんの思いを
私達は忘れてはならない。

恐怖を煽るなどという風評をおそれるテレビ局が
「黒い雨」を放送することは、しばらく無いだろう。

世界の基準を大幅に上回る放射能にさらされて学校に通っている子供達が大勢いる。
大人の事情で、子供達を放射能にさらし続けるようなことがあってはならないと思う。
御家族の苦悩は計り知れない。
日本がいま、大人の事情でめちゃくちゃになっているからこそ、
子供の事情をもっとも大切に考えなければいけない。
福島県の小学校教員の訴え

Fukushima: Nuclear Blast at Reactor 3?
(きのこ雲の再来なのか?・・・)

今村昌平さんと田中好子さんの命をかけたメッセージとして
映画「黒い雨」を見ようと思う。


合掌
Hasselblad 150mm トライX

4.22.2011

今ここにある危機

昼間のワイドショーを見ていたら、
石原軍団が被災地で1週間炊き出しを行っている模様が映し出されていた。
学生時代アルバイトをしていた高級レストランManbow'sのVIP席に
黒いトレンチコートの襟をたてたまま腰掛けて食事をした舘ひろしさんが、
炊き出しの合間に、持ち歌の「泣かないで」を泣きながら歌い、
被災者の女性に「泣かないで!」と言われていた。
カメラの前に現れるときは、とても身なりを大切にする渡哲也さんが
炊き出しの最後の挨拶でぐちゃぐちゃの白髪頭で「故郷」をハーモニカで吹いていた。
被災者達が援助に行った人と握手をして本気で「ありがとう」と言っていた。
昼間から涙が止まらなくなってしまった。
ハニーがいなくなって、涙腺がゆるんだままである・・・・


子供の安全基準、根拠不透明~市民の追及で明らかに
トピックだけを読み上げるようなニュースや
演出をされたおさまりのいい取材映像というものの限界を感じる。
これだけで素晴らしいドキュメンタリー映像になっていると思う。
2本で約90分だが、是非見ていただきたい。
水俣病がなぜ拡大したのか?
薬害エイズ・肝炎がなぜ広まってしまったのか?
ゆとり教育をはじめとするさまざまな国の方針が
もしこのレベルで進められているとしたら、恐ろしいことだ。
これは作り物の映像であって欲しいとすら思える・・

原発作業被ばく線量「救命時は無制限」検討
意味がわからない・・
こんなことを安全な場所で机上の論議をする官僚は
いったいどうなってしまってるんだ?
もし人数的な問題が発生しそうなら
40歳以上の国民は仮に招集されたとしても、
胸を張って参加する覚悟はあると思う。

線量計を持たせずに作業をさせていた東電と政府が一緒になって、
作業員と周辺住民の健康被害への影響をデータごと隠蔽しようと
しているとしか考えられない恐怖を感じる。
ほんとうにこのまま、東電主導でこの難局を乗り切るつもりなのか?
もう、だれもモニタリングポストなんて信じていない。
まずはきちんと現場で住民の立会いのもとで測定を行い
子供達から順に最高性能のマスクを配布し、
ヨウ素剤を処方することさえしない政府はどうにかしている。
現場の家族内での混乱や悲しみを彼らは想像できないのか?

牛に「ごめん」警戒区域で最後の世話
本来なら命あるもの全てを国家の力で救出するべき時なのに、
計画避難などと唱えつづけ、あげくのはてには「はい、あさって立ち入り禁止」
家畜・ペットを緊急事態で助けるということに関しては
賛否両論あるとは思うが、本来税金とはそういうことに使うためにあると思う。

政治家や官僚は、いちいち何を口にするのかびびるとかではなく、
バッジや肩書きをはずして、人として何が大切かをよく考えてから
仕事をしていただきたい。

心理学者などがそろそろテレビに登場して
被災者も国民もいらいらしてくる時期にはいりますなどと評論しそうな気がするが、
地震・津波・原発・政治による混乱は、まさに今ここにある危機であると思う。


オーストラリアの女性首相がお見舞いに来日された。
節電で薄暗い部屋で両陛下とお話をされたようである。
彼女がわが国の首相に会いに行くのかどうかは知らない。
ただ、管さんは、せめて援助・お見舞いのお礼くらいは、きちんとして欲しい。

みんなの前で「泣かないで」を歌ってくれなどとは言わない。
こんな時期に首相であったことにすこしばかり同情もする。
ただ、、
もうすこし
「菅さん、ありがとう!」
と本気で言えるような政治をして欲しい。
今、日本は本当の危機であると国民は感じていると思います・・・

NIKON F トライX

4.20.2011

大江健三郎

1999年7月、大江健三郎さんの写真を撮らせて頂くために、
八重洲ブックセンターで行われた「宙返り」発売サイン会にお邪魔した。
月刊現代の「貌」シリーズの連載である。

さすがノーベル文学賞作家ともなると、サインを求める方に外人が多かった。
大江さんのせいにするのは大変失礼な話だが、
大江さんが外人の方とお話している英語が、
見事なジャパニーズイングリッシュだったのがとても印象的で、
ペンでノーベル賞を貰った方がこれでいってるなら、
カメラを持ってる私も、別に流暢な英語をしゃべる必要はないと勝手に決めてしまった。

カメラの前の大江さんは、一見気難しそうに見えるのとは裏腹に
とてもフランクで優しさが滲みでているすてきなおじさんだった。
「先月の大野晋さんは、君が撮ったんですか?」
「はいっ」
「大野さんのあの笑顔が撮れるなんて大したもんだ。
私だってあんな笑顔あまりみたことないよ。。」
いきなり突っ込まれながらストロボを調整していると、、
「君、キムタクに似ているね~~」
「??ま、まじすか(どこがやねん)」
もちろんちょっと嬉しかったりするのは内緒である。
作家とは自分勝手にあらゆる事象を観察して、
自分勝手に表現する生き物だと思うが、
その作家の番長ともいえるノーベル賞作家に
キムタクに似てるといわれたおかげで、
編集の吉田さんが、
折りあるごとにキムタクに似てるカメラマンだと他所で紹介してくれる・・・
ノーベル賞作家の一言はきちんと受けとめなければいけないのである。

モノクロのフィルムが終わりにさしかかると、
「大江さん、黒いシャツいいすね~」と軽くジャブ・・
「あ~これ、、かみさんが、これ着ていけってね、、あ、下着のシャツ見えてない?
ちゃんと、見えないように気をつけろって注意されてね~」
「大丈夫です(サイン会の時はずっと見えてましたが・・・)」
そして最後の2枚になったところで、
「大江さん、鼻毛でてます」
「あはははは・・・」
大体、先生と名のつく方は鼻毛は標準装備である。
男子の顔はヌードと思って撮っているので、ヘアーヌード一丁あがりなのである。

作家の方を撮らせていただく際には、普段はサインを求めるということはしないが、
実はサイン会の際にスナップしながら、
以前から読もうと思っていた「ヒロシマ・ノート」をこっそり買い求めていた。
撮影が終わってから、大江さんにサインをお願いしたら
万年筆とハンコを取り出して丁寧に書いて下さった。
「中山達也様、一九九九 七 写真を撮ってくれた日 大江健三郎」
日って書いてるのに日にちが書いてないのはなんでだろ?だが、
本棚にいつも眠っている宝物である。

大江さんが今回の原発に関してニューヨーカーに寄稿されていた。

HISTORY REPEATS

和訳された方のページ発見


戦争・戦後、そして原発事故まで生きてこられた日本人作家としての寄稿は、
個人それぞれがきちんとやるべきことをやるのだ、と強く示してくれているようで
とても心強い。日本人の本懐を英語のオリジナルで残すところもすてきんぐである。

「最後の小説」などとおっしゃらずに、、、
大江先生のペンによる「福島ノート」を読んでみたいと思う。


紙面には、大野晋さんよりも見慣れない笑顔の鼻毛写真を使わせて頂いた。

Hasselblad 150ミリ トライX

4.16.2011

今そこにある危機


ドイツ気象局による放射性物質拡散予測
チェルノブイリと同じレベル7の事故の影響が、
こんなに人口密度の高い地域に出ていることに
とんでもない危機感を感じるのは私だけだろうか?
日本のテレビの天気予報でなぜ教えてくれないのか?

東電の社長が体調不良から復帰しての記者会見
彼は小さく頭を下げたが、小さなマイクに突き返された。
あれでは浮気がばれた嫁さんにも効き目はない。

天皇皇后両陛下が被災者を見舞われて、
「頑張りましたね。」とお声をおかけになった
動けるものならとっくに避難している近隣住民に対し、
平気で自主避難を呼びかける政府や、
お詫びに行っても膝もつかない東電責任者は、
両陛下の想いのこもった行動と御言葉から学ばなければならない。

あきらかにいくつもの原子炉および燃料プールが放射能を放ち続けているのに、
余震の度に、健全性は保たれているという
小学校の日直のような報告は見ていて恐ろしい。

福島原発作業員:メディアには登場しない真のヒーロー
ほんとうに命がけで作業にあたられている方々の苦労・苦痛は計り知れない。
これから何年もの間、燃料棒を冷却し続けるためには、
いったいどれだけの線量計というカラータイマーをつけたヒーローが必要なのか?

日本は海洋汚染の犯罪国家になってしまった
しかも、WHOの世界的な基準値を大幅に上回る「ただちに健康被害が無い」
という国内暫定基準値を設けるということは、
その時点で物流において完全に鎖国状態になってしまうという
想像力すら持ち合わせない政府・官僚には苛立ちをおぼえる。

福島第一原発3号機と1号機の水素爆発
誰が見ても同じとは思えない。
3号機のぐにゃりと溶けた鉄骨を見ておかしいとは思ったが、
あきらかに3号機の爆発は、1号機の建屋の破裂と同じではない。
爆発物の専門家ではないが、立ち上る煙の様子も異なるし、
3号機は見るからに、やかんのふたが吹っ飛んでいると感じる。
とんでもない事態になっているのは、明らかなのに
「事象」と言うばかりで、誰も緊急事態宣言を口にしない。

関東各地の環境放射能水準の可視化
こういう恐怖は味わうことがないと思っていた。
一見、航空機の線量の多さにほっとするが、
飛行機にずっと暮らすわけではない。
これが、積もることを考えるとぞっとする。
参考までに(自己責任)

復興の狼煙ポスタープロジェクト
こんなにも立ち直ろうと頑張っているのに、
足を引っ張ろうとする福島の6つの閻魔大王が心底憎らしい。

3.11原発事故発生時のオバマと管直人
寝る時間を惜しまない某大統領と、リーダーシップを持ち得ない某首相。
このような阿弥陀くじの果てには、取り返しのつかない事態が待っている。

原発推進学者が次々懺悔「国民に深く陳謝する」
原発ギルドを裏切るのは容易でない決断だったと思う。
われわれ日本人が、これからどうしていくべきなのか?
放射能を後世に残し続けるような原子力発電が、
空気と水と大地よりもほんとうに大事なのかどうか?
きちんと検証しながら、エネルギー革命を行うべき時だと思う。
ただ、われわれ日本人は今まであまりにも政治に疎く生きてきてしまった。
ほんとうの民主主義というものも含めて再生していかなければならないと思う。

そして個人個人が、こういうときに何が出来て、何をすべきかのか?
テレビでは報道されない高円寺の15000人デモに参加するべきだったのか?
政治家を信じて署名活動をするべきなのか?
具体的に何をすべきかを考えるところから出発しなければならない。

いまだに東電の指揮による事故処理の情報ははっきりと見えてこない。
世界に向けてデータも明らかにされないまま、だらだらと進んでいくとしたら
この人類最大の危機でさえも、正確な記録が葬り去られてしまうことになりかねない。
それどころか、ほんとうに手の付けられない事態になってしまう。
一刻も早く、日本の政府・マスコミは正確な情報を全世界に届けるべきであり、
愛のあるリーダーシップをとるべき段階であると思う。

われわれ人民の間でさえ、事故の対応に温度差が出てしまっている・・・
こんな状況では、混乱は増すばかりか、チームワークすら発揮しにくくなってしまう。

素晴らしい!!
男である。
世の中にはこういう大人な銀行があったことがとても嬉しい。
落ち着いたら口座を作りにいくつもりである。

追記1
心からの叫び!元原発技術者菊地洋一さん中部電力靜岡支店で訴えた   
こういう方の叫びが届かずに事故を繰り返してきてるのが真実だとしたら、
この世界は、、あまりにも悲しい。
放射能も恐ろしいが、この原発ギルドのシステムこそ恐怖だ。
地球のすべての生物にロシアンルーレットを突きつける発電方法などありえない。

追記2
「そこは”死の灰”が降る戦場だった」作業員が語る福島第一原発の内部!
マスコミは「お前ら、死ね」と言った人間に匿名でもインタビューをするべきだ。
こういう人間こそ、真実を語ってくれる。

追記3
サルでもわかる、「誤魔化し累積線量」
爆発という最も放射線量が増えているはずのデーターを
除外しているマスコミによる報道。
毎日新聞は事故からきちんと「毎日」計らなければならない。
サルには無理かもしれないが、小学生の宿題ではやり直しである。

追記4
1/2【原発事故】10年後の日本 2021年(1)   
官房長官には見て頂きたい。
”ただちに”ではない未来、
「癌ですね・・・たばこは吸いますか?」
「は? は、はい」
「あ~たばこのせいですね・・・」
「・・・・(このやろう・・・)」
行き場の無い悔しさが、どれだけ社会を包むことになるのだろう。
人間はいつまで、同じ過ちを繰り返すのか。
このままでは、絶対に駄目だ。

追記5
【原発事故】放射能 低濃度汚染地域の落とし穴
一刻も早く、原発ギルドの影響を受けない
広範囲における放射線測定チームを立ち上げるべきである。
そして天気予報できちんと報告しながら、長期的に見守っていかなければならない。

追記6
masasonさんのつぶやき
某社長の本人認証アカウントつぶやき
お忙しいとは思うが、フルタイムいなくても会社の業務は
回るシステムにはしてるはず。
ほんとは、総理大臣になってほしいくらいだ。
小銭やくだらない利権が欲しいやつは、政治を司るべきではない。
こういう方がリーダーシップを執って、
事故処理にあたるとともに、
緊急事態宣言により浜岡を初めとする危険な原発を
即刻、止めるべきである。
地震の活動期に入っている日本の現首相は、
危険地帯の原発を止める命令を発するべきだと思う。
もし、これ以上の大規模な原子力事故が加わったら、完全にアウトだ。

追記7
チェルノブイリ原発 隠されていた事実1
チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染4-4
歴史や学問や報道というものは、人類にとってほんとうに役に立っているのか?
われわれは、いったい何を学んできたのか?

ネット上や家庭内でさえも、事故にまつわる会話で温度差による
ストレスが発生しているのは、みんな感じているはずである。

行程表などというものがでて、いつか仮にこの事態が収束したとしても
再び「想定外」の災害がおこる可能性はゼロにはならない。
原子力発電が続く限り、永遠に焼け石に水をかけるつもりなのか?
地球上の水は、全て繋がってるって知ってるくせに、
いつまで同じ過ちを繰り返すのか?

原子力の火を消すことが、
ほんとうの人類の叡智であることに気づかなければならない。

原発解体
いつまで、こんな負の遺産を残し続けるのか?
CO2が出ないと言われる原発だが、
そもそも放射性物質と比べること自体、狂っている。
出所が決まっている二酸化炭素くらい何とかするのが叡智だろう。
クリーンエネルギーの開発だって進んでいる。
そんなに人類はアホなのか?

追記8
プロジェクトX チェルノブイリの傷 奇跡のメス
人類にはこういう素晴らしい歴史も刻まれている。
酔っ払ってる方は、見ないほうがいいかもしれない。
涙が止まらなくなる・・
よっしゃっ!


4.11.2011

宮崎駿

4月11日夕方、雲行きが怪しくなってきたので早めに犬の散歩に出た。
程なく大粒の雨がぽつぽつと落ちて来た。
普段では、その程度の雨はまったく気にもしない小学生達が走リ始めた。
道を行き交うサラリーマンや買い物帰りの女性達も不安そうに
建物の下に入って、空を眺めていた。
街行く人々が、無言のうちに放射能雨を
心配する気配を感じて恐ろしくなった。

宮崎駿さんのアニメ「風の谷のナウシカ」の中で、
主人公のナウシカが有毒な物質に汚染された「腐海」の上空を飛行しながら
口にマスクをあてがって先を急ぐシーンが思い出された。

東京にいながら、有毒物質に汚染された空気や水や大地を、
こんなにも意識することになるとは夢にも思っていなかった・・・


2001年「千と千尋の神隠し」を完成させた宮崎さんを取材に
スタジオジブリを訪ねた。
それまでのアニメの流れとは多きくことなる世界感を描き続けて
「もののけ姫」や 「風の谷のナウシカ」を作り上げてきた
還暦を迎えた宮崎さんにお会い出来るのはとても楽しみだった。

宮崎さんは思った通り、懐の大きなかっこいい「大人」だった。
あくまでこれは私見であるが、
撮影に伺って目を会わせた瞬間に写真はだいたい決まってしまう。
「初対面の君に別にこれといったサービスをするつもりもないが、
君は君の仕事をするがいい。」
いい意味で自分勝手に自分を表現されて生きてきた方は、
だいたい無言のうちにそう語りかけてくれる。
宮崎さんの作品は、他の大人が恥ずかしがって言ってくれないような事を
われわれ後輩に、わかりやすくきちんと伝えてくれる。
そんな愛のあるアニメが私はとても好きである。

忙しく部屋の中を行ったり来たりして、
壁に貼った絵コンテを見せてくれる
宮崎さんを多重露出で写真に収めたくなった。
「いきなり大御所にそんな面倒なこと頼んじゃうの?」
と言いたげな編集の吉田さんもいたが
宮崎さんの目を見てお願いしたら一言で快諾していただけた。
ページの左右で合成する旨をすぐに理解していただけたようで、
固定したカメラの前で、少しづつ動き回っていただいて、
無事一枚の中に二人の宮崎さんが写っている写真は紙面を飾った。


宮崎さんの作品の中では、必ずと言っていいほど
人や動物や虫や自然を助けに行くということが話の軸になっている。
3.11から一月を経過してもいまだに緊急地震速報が鳴り止まない。
今回の地震と津波と原発を経験した日本人は、
未来を信じて、、、未来を見据えて、、
助けるとか、共存するとかいうことについて
愛のある答えを真剣に探していかなければならないと思う。
久しぶりに「未来少年コナン」をもう一度見たくなった・・・

Hasselblad 150mm トライX

4.06.2011

スクランブル交差点、三日月と明日の神話

福島原発からの放射能の流出はいまだに続いている。
2011年4月6日、渋谷のスクランブル交差点は、
薄着になって肌を露出した若い女性達で賑わっている。
マスクをしている女性はあまりいない。


節電で薄暗いレンタルビデオ屋のエスカレーターはなぜか動いている。
擦れ違うエスカレーターのカップルの女性が彼氏に向かって、
「しょうがないじゃん、いやなら逃げればいいじゃん」

いつもは明るく灯っている大型モニターは漆黒の板となり、
三日月が交差点を照らしている。


被爆国である日本が、地球に放射能を流出させている。
どうしてこんな事になってしまったのか。。
どうなってしまうのか。。
この今の思いを決して忘れてはならないと思う。

岡本太郎の「明日の神話」が渋谷の街を見下ろしていた。

SIGMA DP2 ISO50

4.04.2011

原発について

未だに予断を許さない状況にある原発について、とても心配している。
焼け石に水作戦に従事されている方々には、
いくら感謝してもしきれない。
ただ長期的に放水で燃料棒を冷却し続けることが
素人目にも困難であることは簡単に想像出来る。
アメリカにある世界最大のポンプ車が、
ソビエトにある世界に一機しかない航空機で
福島に運ばれてくるらしい。
米軍の特殊部隊も合流する。
主導権を他に握られたくない日本政府と東電の思惑を飛び越えて、
世界の人類の叡智vs福島原発の様相を呈してきた。

起こった事象だけを説明し後から後からデータを公表し、
責任回避ばかりでちっとも危険回避をしようとしない
原子力保安院ならぬ保身院には正直悲しくなった。
実は総括的にこの難局を指揮できる人材など
存在しないのではないか?

「ただちに問題はない」と繰り返す官房長官に対しても、
始めのうちは「少し寝た方がいい」などど武士の情けを感じたが、
今となっては、5年後10年後に発生するかもしれない
集団訴訟で金でけりをつけようと企んでるのか?
発ガン率や自然死産率の上昇でしか表面化しない放射能の影響を
原因を特定できないのをいいことに、ごまかそうとしてるのか?
いま国のスポークスマンであるあなたが「ただちに問題はない」を
連発していて本当にいいのかどうか、とても疑わしい。

想定しうるリスクを公開し、
国民の生命・財産を最大限守るべく、政策をきちんと打ち出すことをしないで、
20分だけヘリコプターで震災地を見に行く総理大臣もとても悲しい。
こういう事態で、巧みな言葉で上手に演説をぶってくれなどとは誰も思わない。
せめて国民の命を守ることを大前提にした、
愛のある力強い言葉を聞きたいのである。
地震の被害と放射能で疲弊しきった人たちにさらっと
自主避難を告げる政府はどう考えてもおかしい。
自分の愛する家族がもしそこに残されていたとしたら。。?
そんな想像力すら働かないまつりごとしか出来ない人たちに
政治を任せていたかとおもうとほんとうに恐ろしい。
一刻も早く損得勘定から抜け出せない東京電力を指揮から外して、
世界の叡智と愛で事態の収拾に向かって頂きたい。

プルトニウムは住民に被害をおよぼしませんと
言い切る御用学者やテレビ局自体も、
大人の事情はあるのはわかるが、もっと自国民に対して、
ほんとうの愛と誇りを持って仕事をして頂きたいと思う。

平和な社会とは、他人にたいする愛がすべてだと私は思っている。
民放を中心にしたテレビこそが、ほんとうのリスクを明らかにすることなく、
国民を馬鹿にしたような「安全です」風評被害をまき散らしているように
見えるのは私だけではないはずである。

まだまだ福島の6つの閻魔大王はぐつぐつと
煮えたぎる可能性を持っている。
もし時間はかかったにせよ、
海外の人たちの助けを借りて事態が収拾出来たなら、
日本は原発を封印する方向に進まなければならないと思う。
技術的にもコスト的にも原子力よりも安価になりつつある風力や太陽光発電、
潮力や水力・地熱といったクリーンエネルギーに
シフトするべき時だと強く感じる。
「危ないと、わかっちゃいるけどやめられない?」
そんなに利権と金が欲しいのか?
「CO2が出ない?」
馬鹿野郎。放射能が出てるだろう。
おまけにとんでもないゴミもでる。
「電気量がまかなえない?」
もし、ほんとうに安全で家族や後世に
つけを残さないエネルギー革命をするのなら
それまでの期間の30パーセントの電気不足などはどうにでもなる。
節電だろうがエネルギー革命消費税が追加されようが、
日本人はかならず乗り越えられる。
そこで世界に対して、本当の大和魂をみせることになる。

田中優氏という方の今回の原発に関する講演の動画(約14分×7本)
http://www.youtube.com/watch?v=Qe9mRiUgX3A
直接お会いした事もないし、どんな方かも詳しくは存じ上げない。
ただ、正しいとか煽っているとかではなく、見ておいて損は無いと思う。
こういう方が、お上に逮捕されたりするような事無く
平和な明日の日本がくることを強く信じている。

もし、今回の原発人災の教訓を経て、原発の動向が変わっていかないとしたら
明らかに地震の活動期に入ったこの日本において
自分自身のたちいちさえも考えなおさなければいけないかもしれない。

オンライン署名「枝野さん、安全な電気がほしいです」
彼を信じて、出来ることから・・

写真は、1997年シートベルト「TAKATA」の会報誌「FASE」の取材で
ロスからヨセミテに抜ける国道にて
地平線まで立ち並ぶ風力発電に度肝を抜かれた時のものである。
陸地の何倍もの海を持つ海洋国である日本のまわりに、
原子力に取って代わった風力や潮力発電がずらりと並ぶ姿を
この目で見れる日がくることを願っている。

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