12.22.2010

Tiger Woods

2006年、GQの根本さんと
宮崎のダンロップフェ二ックストーナメントで、
タイガーウッズを追っかけた。

名前からして神がかってると思うのだが、
紳士的で優しい物腰の彼が、
タイガーチャージとよばれる、スコアーを伸ばしながら、
どんどん集中していく様は、まさに獣のタイガーのようで、
ほんとうにかっこいい。
タックの入った太いパンツに、
なんでもないセーターなのにかっこいい。
彼が現れなかったら、ゴルフを取り巻く環境も
全く違ったものであったと思う。

かくいう私は取り立てて早朝から起きだして
ゴルフに出かける趣味はないけれど、
いちおゴルフデビューは オールドコースではなかったが
聖地セントアンドリュースのデュークコースである。
長い付き合いの悪友二人と、故ダイアナ妃の弔いをかねて、
イギリス・スコットランドを10日ほどかけてドライブした際に
立ち寄り、宿泊してプレーをした。
地面がプールサイドに芝生が生えてる様なこつんこつんな感じに加え、
ブッシュというらしい荒れ果てたようなしげみだらけのせいで、
20個以上も、ボールをロストした。
その後も2度、セントアンドリュースに撮影で行くことが出来たのも、
タイガーウッズがゴルフ界にいてくれたおかげであると思っている。

タイガーをフェニックスで撮影するために、
Eos5D(初期型)を購入した。
それまでも1Ds等をレンタル撮影していたので、
アナログ時代のワイドズームレンズの描写が甘い以外は、
取り立てて問題は感じなかったし、こういった取材ものに関しては、
デジタルは非常に向いていると思うし、
当時感度はあまりあげられなかったが、
フィルムチェンジも必要なく、随時被写体の動きを確認できるのは、
とても便利だった。


試合はタイガーとハリントンのプレーオフとなり、
2度目のプレーオフの際に、
カートでティーグランドに戻る選手たちに追いつかず
コースの中程でティーショットを狙った。
ファインダーでタイガーをのぞいていると、まわりがざわめきたった。
目の前の枯れた松の葉の上に彼のボールが転がってきた。
写真の神様降臨である。
タイガーのボールの写真は、実は狙っていた。
私のブックのなかに、
なんとしても、彼のポートレートとして
タイガーと名前が入っているであろうボールの写真を納めたかった。
ボールだけを撮りにきているわけではないので、
ちゃんと名前が入ってるかどうかは、
確認できないまま迎えたプレーオフだった。
レンズはいくつでいくのかを考えながら
「頼むから名前入りで、、ちゃんと上を向いていてくれ!!!」
写真の神様に祈った。
観衆がボールからさ〜っと離れる波とは逆行してボールの前に立った。
まさにブツ撮りをするような理想的な角度で
TIGERという文字が上を向いていた。

フィルムの残り数も心配することなく、ピントとぶれに注意しながら
夢中でシャッターを切った。
顔を上げると、タイガーが「ちっちっち」と
人差し指を振りながら向かってきた。。
「ちっちっち」はETが映画の中でやるものだとばかり思っていたが、
生まれて初めて生でやられてしまった・・・
きちんと歯で舌をかみながら彼の顔をみて「さんきゅ」とつぶやいた。

後日、GQ編集部の根本さんは
フェニックスから注意の御連絡を受けてしまったようで・・・
関係者のみなさま、ごめんなさい。
この写真は、根本さんがたちあげた新しいスタイルのゴルフ雑誌
「CARRY million-mile」2010 A&Wにも見開きで掲載された。

やはり写真の神様はいるのである。

Canon Eos5D