5.05.2012

Nikon D800E

35ミリのカメラをキャノンからニコンに持ち替えてもうじき一ヶ月である。
当初ローパスフィルターの効いている800を借りて使用していたが、
いまでは確信を持ってローパスの効き目を弱くした800Eにして正解だったと思っている。
前回のポストにも貼ってある多摩動物園で撮ったインコの写真で確信した。
 800(無印)では左側のようなエッジの効いた柔らかな毛並みは出ないかもしれない。 D800E 
左がCapture1で右側がNX2による現像だが、 同じような解像感になるように処理すると、
あきらかにC1のほうが自然で繊細なテクスチャーを保持することがわかった。
(追記:レイヤーを使用しない1-10のシャープネスにおいて)
このことは、Nikonにも報告してあり、
 技術部門で今後の開発に参考にするという返事を頂いてい る。Nikon D800E 
手ブレを極力押えて、高性能のレンズを使い、
解像度を殺さない絞り値で、ピントを慎重に合わせて撮影すれば
えげつないほどの凝縮感のある写真をものにすることが出来る。

しかも、今まではこれほどの高画素の写真をものにするために使っていた
デジタルバックのカメラシステムは、雨の中に散歩で気楽に持ち出すような
値段でもなく、そういう作りでもなかった。
あきらかに雨には濡らしたくないものだった。
ところが、これは耐久性も少しくらいの雨も気にならないNikonのカメラである。
先日の大雨で、待ってましたとばかりに800Eにリングストロボを付けて大雨の中、散歩に出た。
そもそも、このカメラとレンズの高解像をいかんなく発揮するには、
シャッタースピードを1/250に設定して、ストロボ光だけで撮影するのが一番わかりやすい。
あらかじめテストしてわかっていた60ミリマクロレンズの絞りを8~11で
雨がしたたるものを中心に撮影した。   Untitled

犬の散歩の時に、目を付けておいた道端に咲く花の写真である。
色、質感、花弁に付いたストロボの反射を抱いた雫を見て、
アーヴィングペンの「フラワーズ」を思い出した。
1980年に発売された驚くほど印刷が綺麗な写真集である。
ペンの執念の視線に簡単に比べるのはいささか失礼な話だが、
ある意味簡単に、その写真集にも負けないようなデータが
 いとも簡単に出てきてしまうカメラなのである。 

望遠レンズに関しては、400ミリや600ミリあたりの単焦点がベストになるが、
こと等倍以上の超マクロの世界になると、
カメラメーカーのレンズはほとんど発売されていないのが現状である。
ただ、こんな元気なカメラを持っていると、
あれこれ武器を揃えたくなってしまうのは、男の悲しい性である。
以前から気になっていたが、明らかにレンズ性能がよくなるであろう
引き伸ばしレンズの逆付け作戦に挑戦してみた。
やるならもちろん大胆にチューブは幾つも連結して約20センチ。
写る範囲は1センチにも満たない世界である。
当然、動くものを撮るにはそれなりの覚悟が必要になる。
実絞りでの撮影になるので、絞りは欲しいが、絞ればファインダーはほとんど見えない。
かといって、絞りを開ければピントを合わせるのは神業と思えるほどピントが薄くなる。
世界中の昆虫写真のマニアはFocus-Stackingという
ピントの違う写真を複数枚合成する手法で、美しい写真を作っているが、
個人的には、そのやり方はハリウッドの合成映画のようで、なんとも面白くない。
そんな思いで、時間を見つけては、近所で見つけたアリの巣で、
地面に這いつくばって修行をしていたら、昨夜おどろくことがあった。
夜中に寝ようと思って、ふとキーボードの脇に置いてあったカメラを見ると、
すぐ側に、この都会ではあり得ないような7,8ミリくらいの大きなありが居座っていた。
しかも、家には蚊は入ってくることはあっても、アリの侵入は初めてだった。
あきらかに、自分が今、夢中になってアリを撮影していることと、
不思議な因縁を感じずにはいれなかった。。すこし、怖い気もしたが、
まさかとは思うが、モデル志願かもしれないと勝手に決め付けて
棚にあった透明アクリルのレンズカバーで捕獲した。
アリは緊急事態になると特殊な匂いを出して、仲間を呼ぶSOSを発信するということを
何かで見聞きしていたので、レンズカバーを上向きにして
へりまで登ってきてどっちに行くか迷ってる瞬間にシャッターを押した。
そのときにたまたま付いていたレンズが60マクロだった。
おそらく引き伸ばしレンズのリバースが付いていたら、
瞬間的に撮ることが出来なかったはずである。
ピントがあっているかどうか自信は無かったが、
SOSを出されて、家の中にアリが行軍されては困るので、
すぐに、退場していただいた。

Untitled 

アリの写真を見て少し驚いた。
もちろん解像度的にニコンのレンズの中でも 間違いないと思って用意してあったが、
正直引き伸ばしのリバースを使うべきか このマクロレンズにチューブをつけて使うべきか
悩ましいほどの解像である。 複眼に少しモアレが発生している。みんなは忌み嫌うモアレだが、
個人的には 執念のピントの証だと勝手に思っている。
こんなモアレを怖がっているなら、デジタルなんか辞めたほうがいい。