1.25.2011

2001年、皿の旅

いまから10年〜15年程前、
雑誌BRUTUSの根本さんと料理関連の取材で、
たびたび御一緒させて頂いていた。
「予約のとれないレストラン」特集や、
ジョエルロブション氏の追っかけなどで、
しこたま美味しいものに出会う機会を
与えてくれた根本さんには大変感謝している。

28歳までのお金があった頃も、行くのはしゃぶしゃぶか寿司屋。
スタジオに入ってからは、ろくなものを食べていなかったおかげで、
きちんと洋食のレストランで美味しいものを食べるという
文化が自分の中にほとんどなかった。
そんなラボエムのパスタで十分なカメラマンが、
いきなりローマ、ミラノ、パリを中心に、
蒼々たるレストランで食事をすることが出来た。
ミラノ在住でコーディネーターをなさっている岩倉さんのマジックで
小さな名店も数多く訪れることが出来た。
撮影が終わり、椅子に座ると真っ先に
冷えた白ワインを注いでくれるギャルソンや、
少しでもぬるくなったと見ると、シャンパンを床の絨毯に撒いて、
新しく注いでくれるムッシュもいた。
本場で美味しいものを頂くということと、その周辺の文化に触れたことで、
私の食に対する価値観が大きく変わったといっても過言ではないと思う。

ローマにあるQuinzi & Gabrieliのスカンピのパスタが、
どうしても忘れられなくて、他誌の取材の時も含めて4回訪れた。
残念ながらデニーロにもアルマーニにも会う事は出来なかったが、
「アジアのジャーナリストではお前が一番来てくれてるよ〜」
と店の親父はスプマンテをがんがん注いでくれた。

あれから約10年が経った。
街も味も変わるだろう。。
しょっぱい御時勢のおかげで、
なかなかパスタを食べにローマには行けないが、
そろそろ行かないと、味を忘れてしまいそうである。

写真は小山裕久さんとロブションさんのコラボレーションディナー。
無粋ではあるが、たしか8万円だったと記憶している。
PIAGETのお得意様は、御招待だった。
最低でも二人でお酒を飲む事を考えると。。。

自分へのご褒美で美味しいものを食べるというのは、
そういうことなのかもしれない。

  Hasselblad E100Vs +1